不二家事件から学ぶこと その3

 前段、1つの妥協が他の妥協を生むと書かせていただきましたが。後段は、「善意」について書きたいと思います。

 私は、今回の不二家事件で、最も悪かったのは、経営者だと思っています。特に会見の場で、「私の知らないところで、そういうことが行われていた。」こういうふうに言われていました。これはよくないと思います。私は、経営のトップたるもの、たとえ知らなくとも、前述のような言葉を発してはなりません。責任をとることが、上司の仕事です。知らないことが悪いのなら、従業員は、2、3人でとどめておくべきです。でないと、知らないことだらけになってしまいます。

 では、それでも、経営がうまくまわるのはなぜでしょうか。「全従業員の意識、もしくは、判断が、会社が決めている考え方と一致している」からです。もしくは、「一致していない場合、自動的に、チェック機能が働くようになっている。」からではないでしょうか。

 最も、理想的な組織は、「全従業員の意識、もしくは、判断が、会社が決めている考え方と一致している」組織です。そして、そうなると管理のコストがいらなくなります。1人でも、「バカ者」(失礼な言い方で申し訳ありません)が社内にいると、とてつもない「管理のコスト」を生むと私は考えます。たった1人のために、全体がいらないコストをかけなければならなくなるのです。(つづく)

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不二家事件から学ぶこと その2

 経営者は、自社の従業員に、まず、企業においての判断基準と私的な判断基準が違うことをしっかりと教えなければなりません。個人の判断基準をそのまま企業に持ち込むと、思わぬ事件を起こしてしまうことがあるからです。これは、わかっていそうでわかっていない場合が多いのです。会社というものは、社会的公器であり、存在した時点ですでに社会的な責任をもっているものなのです。

 今回の場合、期限切れの材料を使った最初の人は、ちょっとのことだと思って始めたと思います。

 つまり、きっと、「1日ぐらいだったら、大丈夫だろう。」というちょっとした妥協から始まったのではないかということです。でも、この、たった少しのことが、企業自体の存続を危うくする時代に突入しています。それは、すべての企業そして消費者が、品質を求めている時代になっているからなのです。つまり、企業は、その企業自体の基本的な価値は何かを教え、そして、それを徹底しなければならない時代になっているのです。

 食を扱っている企業は、「安全、安心なものをお客様に提供する」ということが基本的な価値だと思うのです。その基本的な価値が徹底できないと、今回のようなことになるのです。

 そして、いつのまにか、常識を超える妥協が生まれることになってしまうということを、忘れてはならないように思います。一番、怖いのは、「いつのまにか」なのです。

 それから、もっと怖いことは、最初にルールを破った方は、悪意でないだろうということなのです。ここを考えると、経営者は、かなり深くものを考えなければなりません。

 それは、善意には、次元の違う2つのものがあるということです。(つづく)

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不二家事件から学ぶこと その1

 今年に入ってから不二家事件について意見を求められることが多いです。今回は、この不二家事件について学ぶべきことは何かということを考えてみます。

 事のおこりは、シンプルであったように思います。期限切れの材料を不二家が使っていたということ。私は、このニュースを聞いたときに、何か嫌な予感がしました。ただ、不二家自体が他の会社の支援を受けるような事態になるほど事が大きくなるとは思っていませんでした。

 皆さんも、不二家をご存知のことと思います。

 初めていちごのケーキを「ショートケーキ」と呼んだのは、不二家です。そして、国民的に有名なシンボル「ペコちゃん」をお菓子業界で作り上げたのも、不二家です。つまり、非常に国民からも愛されていた企業だと思います。だから、尚更、風当たりも強かったのでしょう。

 不二家は、銀座に本店があります。そこに、「お詫び」という書面が貼ってありますが、そこには、多くのお客様からの言葉が書かれています。そのほとんどが、「がんばれ、ペコちゃん」的なものが多いですね。それを見ても、ペコちゃんが、いかに国民的なアイドルだったかがわかります。

 不謹慎ですが、私は、「家では、賞味期限切れのものでも、結構、食べているな。」と思ってしまいました。私の死んだ母親は、九州の人間でしたが、「1日や2日ぐらいなんね。食べてもどうもなか。食べんね。」とよく言っていましたし、実際、みなさんも納豆やヨーグルトなどは、期限切れでも、食べているのではないでしょうか。ならば、なぜ、企業だと、賞味期限等を守らなければならないのでしょうか。それは、企業の判断基準と、私的な判断基準が違うからです。(つづく)

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平成18年度のイータックス利用者が急増

 国税電子申告・納税システム(イータックス:e-TAX)は、その名の通り国税に関する申告・申請、および納税手続きをインターネットを利用して「電子的に」行うことができる仕組みです。とかく「伸び悩んでいる」と揶揄されていたイータックスですが、このところの利用件数の伸びはなかなかのものです。

 イータックスのホームページに掲載されている「e-TAXの利用件数」によると、電子申告や電子申請などイータックスを利用したオンライン手続きについて、運用開始(平成15年)以来の累計利用件数が100万件を超えています。そのうち約93万件は平成18年度に利用されたもので、これは前年の平成17年度に比べると約13.5倍もの伸びになります。特に所得税確定申告(前年度比31.8倍)、申請届出等(同40.1倍)の伸びは目覚ましいものがあります。

 また、納税手続きについても、前年比4.1倍と電子申告や電子申請ほどではありませんが着実に伸びています。
 イータックスの納税手続きは、ペイジー(Pay-easy:税金・各種料金払込みサービス)に対応した金融機関(銀行、郵便局、信用金庫、農協など)のATM、インターネットバンキング、モバイルバンキングを利用して税金を支払う仕組みです。インターネットバンキング、モバイルバンキングを利用すれば、金融機関まで赴かなくてもパソコンや携帯電話を使って納税できるのです。さらにペイジーを利用すれば、公共料金、携帯電話料金、自動車税、国民年金保険料やインターネットショッピングの購入代金なども支払うことができます。

 日本銀行が4月16日に公表した「国庫金電子収納事務取扱金融機関一覧」によると、日本銀行が国庫金電子納付を委嘱している代理店・歳入代理店401金融機関のうち、約94%にあたる378金融機関がすでにペイジーに対応しているそうです。納税手続きに対応したATM、インターネットバンキング、モバイルバンキングの各対応については金融機関によって異なるようなので確認が必要ですが、まさに全国いつでもどこからでも納税できる仕組みが既に整っているといっても良いでしょう。

イータックスの利用者が伸びていることの一因には、こうした環境整備にもあるのでしょう。

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改正された減価償却の償却方法についての考え方(2)

 減価償却資産について、毎年費用化できる償却額が増えると良いケースと増えると困るケースがあります。

 増えるのが良いケースとは、利益が十分に出ていて償却額が増えれば節税になるケースなどです。経営的にも設備への投資額を早期に回収できるという点で好ましいのではないでしょうか。
 逆に償却額が増えると困るケースとは利益が不足している時などです。特に事業の不調などにより予定していた利益額を達成することが難しくなった場合などは、増えた償却可能額がさらに利益を圧迫することになりかねません。
 
 現在の償却資産の状況や今後の設備投資計画、利益計画などを再点検して、減価償却に対する経営戦略を検討する必要があるかもしれません。

 一般的な企業で利用される償却方法は「定額法」と「定率法」です。定率法は資産の帳簿価額の減少に応じて毎年の償却額が低下していく方法、定額法は毎年均等に償却していく方法です。定率法の場合は取得直後の償却額が大きいため資金回収効率や節税効果が高く、定額法の場合は毎年の償却額の変動が少ないため利益計画等への影響が少ないというメリットがあると言われています。

 どちらの償却方法を利用するかは企業が選択できますが、選択しない場合は法人は定率法、個人は定額法が法定の償却方法となります。また、建物(定額法)、生物(定額法)、営業権(均等償却)のように償却方法が定められている資産もあります。この償却方法を変更する場合は、「新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日」までに所轄税務署長に申請することが必要になります。

 しかし、今回改正ではその影響の大きさを考慮してか、平成19年4月1日以後最初に終了する事業年度(個人の場合は平成19年)に限り、確定申告期限までに所轄税務署長に変更の届出をすれば、その事業年度(個人の場合は年分)の償却方法を変更することができる経過措置が手当てされています。(法令附則11-3、所令附則12-3)
 たとえば4月末決算法人の場合は6月末(延長申請がある場合は7月末)、個人の場合は平成20年3月15日の確定申告期限までに変更の届出をすれば良いわけです。

 なお、変更の届出をしなかった場合は、既に取得している償却資産と同一区分の償却資産は従来の方法(改正前の定率法→改正後の定率法など)が選択されたとみなされ(法令51-3、所令123-3)、新たな区分に該当する償却資産については法定の償却方法が選択されたとみなされます(法令51-4、所令123-4)。

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改正雇用保険法が成立。適用は4月分給与から

 19日午後、改正雇用保険法が衆議院本会議で可決・成立しました。同法は3月中に成立して4月1日に施行される予定でしたが、厚生労働省のミスによって採決が先送りされていました。

 今回改正の骨子は、ズバリ雇用保険料の引き下げです。雇用保険の料率が引き下げられるのは14年振り。景気回復等により失業者が減少し、保険財政が好転したことによるものだといわれています。具体的には雇用保険の保険料率が現行の1.6%から1.2%に引き下げられ、事業主が負担している雇用保険三事業に係わる保険料率も0.35%から0.3%に引き下げられました。

法律の成立は遅れましたが、適用は予定通り4月分の保険料(5月納付)からです。

 雇用保険の掛け金は原則として事業主と労働者が折半して負担しています。雇用保険の料率が1.2%になるということは、事業主が従業員に支払う給与等の0.6%づつを事業主と従業員が掛け金として支払うことになります。ただし、事業主には雇用保険三事業に係わる保険料率0.3%が別途加算されますし、農林水産業、清酒製造業及び建設業には上乗せ保険料率(0.1%、0.2%)が別途加算されます。

雇用保険の料率(平成19年度)
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[一般の会社]
●雇用保険料率:1.5%(改正前1.95%)
○事業主負担分:0.9%(改正前1.15%)
○被保険者負担:0.6%(改正前0.80%)

[農林水産、清酒製造業]
●雇用保険料率:1.7%(改正前2.15%)
○事業主負担分:1.0%(改正前1.25%)
○被保険者負担:0.7%(改正前0.90%)

[建築業]
●雇用保険料率:1.8%(改正前2.25%)
○事業主負担分:1.1%(改正前1.35%)
○被保険者負担:0.7%(改正前0.90%)
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改正された減価償却の償却方法についての考え方(1)

 平成19年度税制改正で減価償却制度が大きく変わりました。改正法令等を見ると当初考えていたよりも大きな改正のようで、専門家や実務家の間でも法令解釈や対策等について話題に上ることが増えてきました。

 特に今回改正では残存価額、償却限度額という概念が無くなりました。これは、平成19年4月1日以降に取得した償却資産について、毎年損金にできる償却費の額が上がることを意味します。

 減価償却の方法として定額法を採用している場合、おおよそ毎年償却できる費用が約1割上がります。1割ですから、かなり大きな額の資産を購入しなければ大した影響は出ないでしょう。

■定額法の計算例
期首に耐用年数6年の償却資産を100万円で取得した場合
<改正前>
取得額100万円×0.9×償却率16.6%=毎年の償却額14万9400円
※0.9=(1?残存割合0.1)
<改正後>
取得額100万円×償却率16.7%=毎年の償却額16万7000円

 しかし、定率法を採用している場合は影響額が大きくなります。定率法は減価償却資産の帳簿価額に一定率(償却率)をかけて償却額を算出する方式で、設備取得直後の償却額が大きくなるのが特徴です。

■定率法の計算例
期首に耐用年数6年の償却資産を100万円で取得した場合
<改正前>
取得額100万円×償却率31.9%=1年目の償却額31万9000円
<改正後>
取得額100万円×償却率41.7%=1年目の償却額41万7000円

 償却額には、増えるのが良いケースと増えると困るケースがあります。それについては対策を含めて次回にご説明します。

(続く)

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祝儀を受け取った際の税金

 落語家の林家正蔵さんが九代目「正蔵」の襲名パーティの際に、支援者等からもらった祝儀の一部などを税務申告しなかったことについて、東京国税局から「申告漏れ」として指摘されたことがニュースになっています。ニュースによると、祝儀を隠していた事実や祝儀袋を廃棄していたという事実が「悪質」と判断されたようで、追徴課税額は重加算税を含めて4200万円に上るそうです。同様のケースでは、以前にも相撲の親方や力士への祝儀について申告漏れが指摘されたことがありました。

 今回のケースは事業所得の申告漏れだということです。落語家は個人事業主にあたりますから、落語家として受け取った祝儀は事業所得ということになり、これを確定申告の際に申告しなかったようです。

 一言に祝儀といっても、受け取った祝儀の税務上の取り扱いは実態によって異なります。本来、祝儀とは祝い事や祭事にかかる費用の分担金という意味合いがあったようなのですが、現在は祝い金全般を指すようになりました。また、入学式の寄附金やサービス業者などへのチップなども「(ご)祝儀」と言ったりします。

 まず祝儀といって思い浮かぶのは結婚式の祝儀でしょう。個人が冠婚葬祭などで受け取った結婚祝金品等や葬祭料、香典、見舞金などは、「世間の相場等からみて社会通念上相当とみられる金額」は非課税となり、所得税や相続税、贈与税などの対象になりません。「世間の相場」については一概に言えませんが、もし税務署などから「世間の相場」を超えていると指摘された場合などは、超えた分について課税が発生するケースがあります。その場合、自分の勤める会社等から受け取ったものは給与所得、その他の人や会社から受けたものは贈与税や相続税の対象となるでしょう。

 当然、チップ的な意味合いを持つ祝儀も個人の懐に入れば贈与税の対象です。もっとも、贈与税には非課税枠が110万円ありますので、余程高額な祝儀でなければ税金を支払う必要は生じません。

 会社や個人事業主が祝儀等を受け取った場合は基本的に収益計上するのが原則です。たとえば、記念式典等のパーティでもらった祝儀等については、法人の場合は雑収入など、個人事業主の場合は事業所得として処理します。今回の林家正蔵さんのケースは襲名披露パーティで受け取った祝儀でこのケースに当たります。ただし、会費制のパーティで祝儀が実質的な会費になるようなケースでは、パーティの運営費(交際費、福利厚生費など)と相殺できる場合もあります。この場合には受け取った祝儀は預かり金などで処理することになります。

 会社や経営者の慶事、受賞などに伴って会社が受け取る祝儀や、学校や組合等が行事に伴って受け取る祝儀(実質的に寄附金)などについても、基本的に雑収入(寄附金収入など)として処理します。

 なお、この場合における消費税の取り扱いですが、祝儀(祝い金)や見舞金、寄附金などは消費税の課税対象とはなりません。

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年金制度が変わっています

 4月1日より年金制度が一部変わっています。年金分割制度?離婚時の厚生年金の分割制度?についてはよく報道されていることもあって知られているようですが、その他についてはまだ周知が十分とはいえません。

 そこで、社会保険庁では「平成19年4月1日から、年金制度の一部が変わります。」という情報やリーフレットを出してPRに努めています。

 4月1日より変更される年金制度は以下の5点です。

?70歳以上のお勤めの方に係る老齢厚生年金の給付調整の導入
?65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度の導入
?遺族厚生年金制度の見直し
?離婚時の厚生年金の分割制度の導入
?自らの申出による年金の支給停止の仕組みの導入

 特に注意が必要なのは、?70歳以上のお勤めの方に係る老齢厚生年金の給付調整、?65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度の導入です。

?は、65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者に適用されていた「老齢厚生年金の給付調整」を70歳以上にも適用するもので、70歳以上で一定以上の勤務実態や給与がある場合、年金支給額の一部または全額が支給停止となる仕組みです。「年金だけでは足りないから働く」「まだまだ現役」とご高齢になられても頑張られている方も多いと思いますが、これに該当すると年収が却って減少してしまうことになりかねません。ご注意ください。

 なお、平成19年4月1日以降、上に該当する70歳以上の方を引き続き雇用している事業主、または新たに雇用した事業主は、その従業員に係る雇用、退職または賃金等の額に関する届出書を社会保険事務所に提出する必要があります。

 また?は、65歳から老齢厚生年金を受けることができる方が、あえて66歳以降に支給を受ける「繰下げの申出」をした場合、そのときから増額された老齢厚生年金を受けることができる制度です。繰下げ加算額は繰下げ対象額×増額率で計算され、増額率は「支給を繰下げた月数×0.7%」になります(最大42%)。65歳以降も引き続き働きたい方で?の「老齢厚生年金の給付調整」に該当する方の場合は、この制度を選択しておくと有利になるケースが多いようです。

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相続と相続登記

 国税庁の統計情報によると、平成16年度に相続税申告書が提出された相続において、被相続人4万3488人のうち約96%にあたる4万1599人が相続財産として土地を残しています。また、家屋や構築物を残した人も約91%にあたる3万9562人もいました。

 土地や建物などの不動産を相続で取得するということは、不動産の持ち主が変わるということです。通常、不動産の持ち主が変わったときには不動産登記をします。特に相続によって不動産を取得した場合は「相続登記」といって、「相続を原因とする権利関係の変動」があったことを公示することになっています。
 ただ、実はこの相続登記には義務も期限もありません。相続税申告の場合は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うこと」と決められていますが、相続登記はしてもしなくても良く、またいつしても良いのです。

 そのため、相続によって不動産を取得しても相続登記をしない人や先延ばしする人がいます。前述の通り相続登記は義務ではありませんから法的に罰せられることはありません。しかし、相続登記をしない場合にはさまざまな不都合やトラブルが生じる場合があります。

 まず、相続登記をしなければその不動産を融資の際の担保にすることができません。また、売却をすることもできません。すぐに資金が必要な場合に支障が出るわけです。

 もっと問題なのは相続争いが生じてしまう(再燃する)可能性があるということです。というのも、法定相続分通りに相続財産が分割された際の相続登記には「遺言書」や「遺産分割協議書」が不要となるため、法定相続人であれば他の法定相続人の了解が無くても、自分の相続分について相続登記をすることができるようになっています。

 そして、それが悪意をもって行われ、さらにその相続分が善意の第三者に譲渡されてしまったような場合、その相続分を取り戻すのは非常に困難なのです。各種判例でも、こうしたケースでは本来の持ち主よりも善意の第三者の権利が優先するとされています。また、詐欺などによる同様の事例も無いわけではありません。

 また、このような争いはすぐに生じなくても、相続登記がされないまま世代が重ねられていった場合、さまざまな問題を引き起こす火種にもなりかねません。

 相続登記に限らず登記というのは自ら、そして家族の権利を主張し守るためのものでもありますから、できるだけ早く行うことが望ましいのです。

(情報提供元:ゆりかご倶楽部)