柳沢厚生労働大臣が5月11日の閣議において、最低賃金の履行確保、周知徹底を目的「問題が多い業種」を中心に「6月1日から1カ月間、全国の労働基準監督署で1万事業場に対して一斉監督を行う」ことを発言しています。

 最低賃金法という法律では、使用者は労働者に対し、最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことが規定され、最低賃金に達しない賃金を定める労働契約は無効とされています。また、地域別最低賃金の原則や決定基準を明確化するとともに、違反した場合の罰金を大幅に引上げる(2万円→50万円)ことなどを内容とした同法改正案も現在の国会で審議中です。

 厚生労働省によると、2005年に最低賃金法違反で摘発された件数は1766件。しかし、企業において賃金水準の低い非正社員化が進むなかで、この数字は氷山の一角に過ぎないとの指摘も多く、柳沢厚生労働大臣の発言もこれを意識したものです。

 一斉監督の対象となる事業所は、都道府県ごとに違反件数の多かった業種を中心に労働基準監督署が決めることになっています。ただ、各地の労働局のホームページなどを見ると、まだその詳細などは明らかになっていないようです。
 もし監督を受けることになれば、最低賃金法を順守しているかどうか支払い状況がチェックされるのはもちろんですが、賃金を規定している就業規則など労働契約の有無や内容、賃金台帳など労働関連法等で備え付けが義務化されている文書もチェックの対象となる可能性があります。

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(情報提供元:ゆりかご倶楽部)